『ワークブックシリーズ』に
 期待します


名古屋女子大学教授 上智大学名誉教授
加 藤 幸 次
 
ご存知のように、総合的学習は「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決していく」学習活動ですが、大きく3つのステップに分けることができ、それぞれに肝要な点があります。
最初のステップは学習課題づくりの場面で、子ども自身が疑問や驚きを感受して、学習課題に気づくことです。
次は、課題追求のステップで、図書館やインターネットで調べたり、取材したり、実験・観察したり、直接体験したりします。この課題追求の途中で中間発表会を設けるなどして、振り返り、自己評価し、いろいろな意見を聞くことです。
最後のステップはまとめ・発表の場面で、学習活動の全体を振り返り、仲間や友だち、教師などからの評価を受け止め、自己評価することです。

このワークブックは、修学旅行の班別自主研修において、児童・生徒が自分たちで研修の課題づくりに取り組めるよう工夫されており、下調べ、研修コースづくり、研修旅行、発表の準備などのステップに分けて記録できるようにし、いつでも振り返ることができるようになっています。
マンガやイラストなどを交え、児童・生徒が親しみを感じながら取り組めるようになっているので、どのように活用されていくのか大変楽しみです。
こうした新しい試みのワークブックが、各学校の総合的学習の多様な展開を可能にし、先生方のもとで子どもたちとともに大きく育っていくことを期待しています。


加藤幸次(かとうゆきつぐ)教授のプロフィール

1937年 愛知県生。
名古屋大学大学院、ウィスコンシン大学大学院修了。
国立教育研究所(現国立教育政策研究所)室長、上智大学教授を経て、
現在、名古屋女子大学教授、上智大学名誉教授。
全国個性化教育研究連盟会長。アメリカ教育学会会長。
総合的学習や学校教育関係の著書多数。